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我が運命は君の手にあり
第8章 第八章
時江がキッチンへ姿を消すと、遼が先に立って「行くよ」と廊下を進む。その背中を追いながら、冴子は玄関に目をやった。と、不意に扉が開いた。

「そこに落ちていたんだが、君のじゃないかね」
「え?」
扉の向こうで、影のように見える染井が何かを手に持っている。

「なに?」

振り向く遼に「すみません、ちょっと」と告げ、急いで靴を履いて染井の前に立った。

「これ、君のだろう?」
「っ……」

(どうして……)

あの日、2階の部屋で染井が選んだ赤い口紅だった。彼はそれをわざわ取りに行って──。

「あ、ありがとうございます」

赤い長襦袢の女がちらついた。

「大切なものだろう、 ん?」

意地悪な瞳、抗えない視線だった。

「……はい」
「うむ……。では、今度は本当に行ってくる」
「いってらっしゃいませ」
「親父なんだって?」

ドアを閉じた冴子は明るく振り返った。

「これを玄関先に落としてたんです。あの、さっきの、コンビニの手洗いで急いでお化粧を直して、その時にこれをコートのポケッ……」
「あ、あぁ、ははっ、失くさなくて良かったね」

遼はついさっきの情事を思い出したようで、少し照れながら廊下を進んだ。



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