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我が運命は君の手にあり
第8章 第八章
「あの、そんな大事を私に話してしまっていいんですか?」
染井流の内情について、ただの一度も口にした事のない時江がなぜ? 冴子は理解できなかった。
時江は湯飲みをゆっくりと口に運び、ひと口飲んで静かに戻した。
「……秋津さん、お家元とは別れていただきます」
平然と言い切った時江の顔は、やはり平然としていた。
「あ、あの……」
「お家元が口していた気になる人というのはあなたの事でしょう」
時江を前にして、反論出来る筈がなかった。
「あの方は染井流を背負って立つ方です。それには綾辺様のご協力が必要なんです。わかりますよね、あなたが現れるずっと前から動き出しているんです」
「……はい」
「師範の本城様も気に掛けておられます。皆さん気を揉んでいるんですよ。近い将来、お家元には咲さんと結婚していただかないと困ります」
時江の言葉は理路整然としていて、一々府に落ちた。
「あの方は真っ直ぐにお育ちになって、それは素晴らしい事なんですが今回ばかりはよくありません」
冴子は淀みなく話す時江にただ俯き、目に涙を滲ませていた。
染井流の内情について、ただの一度も口にした事のない時江がなぜ? 冴子は理解できなかった。
時江は湯飲みをゆっくりと口に運び、ひと口飲んで静かに戻した。
「……秋津さん、お家元とは別れていただきます」
平然と言い切った時江の顔は、やはり平然としていた。
「あ、あの……」
「お家元が口していた気になる人というのはあなたの事でしょう」
時江を前にして、反論出来る筈がなかった。
「あの方は染井流を背負って立つ方です。それには綾辺様のご協力が必要なんです。わかりますよね、あなたが現れるずっと前から動き出しているんです」
「……はい」
「師範の本城様も気に掛けておられます。皆さん気を揉んでいるんですよ。近い将来、お家元には咲さんと結婚していただかないと困ります」
時江の言葉は理路整然としていて、一々府に落ちた。
「あの方は真っ直ぐにお育ちになって、それは素晴らしい事なんですが今回ばかりはよくありません」
冴子は淀みなく話す時江にただ俯き、目に涙を滲ませていた。