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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
三人は、展示されたどの作品よりも可憐で明るかった。会場にいた来場者が目を細めて横を通る。遼に促されたスタッフが、花展の終了を知らせるボードを運んで入口に立てた。

「ねぇ、ねぇ咲……」

一人が咲に何か囁くと、咲は人差し指を唇にあて、二人を黙らせた。

「いらっしゃい咲ちゃん、賑やかだね」
「遼さんこんにちは、お疲れ様です」

咲がぺこりとお辞儀をした。

「びっくりしたよ。成人式以来、咲ちゃんの着物姿見てなかったから」
「じつは時江さんに着付けを教わってるんです。まだ一人では無理なので、今日は着せていただきました」
「あぁ、聞いてるよ。なかなか筋がいいらしいね」
「そうかなぁ、ふふっ。じつはこの着物、おじさまからのプレゼントなんですよ」

咲がすまし顔でひと回りすると、友人二人が「おぉー」と拍手を浴びせた。

「へぇー、なかなかいいね」

朱色、濃紺、白の幾何学模様に辛子色を効かせたモダンな柄と赤い帯。無邪気な咲の印象を覆すその柄は、未成熟な乙女の魅力を見事に引き出している。また、耳を隠して大正ロマン風に仕上がった髪は清楚な色気を醸し出し、友人達が驚くのも無理はなかった。

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