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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
綾辺との約束の時間が迫っていた。スタッフらは明日の片付けの手順を確認し、冴子はカウンターの奥でポットや余った紙コップ等を段ボールに詰め込んでいた。
遼は少しでも冴子と言葉を交わそうと、カウンター越しに声を掛けた。
「お疲れさま、手伝うよ」
「ありがとうございます。でもここはすぐに片付き……」
「遼さん、じつはお父様が」
背後で咲の声がした。
「ん?」
「私も遼さんと一緒に来るようにって」
「え、そうなの?」
指示された場所は綾辺が経営する料亭だ。なぜ咲がそこに顔を出すのか。綾辺は仕事の話に娘を同席させるつもりなのだろうか。
見つめている咲の顔がぽっと赤らんだ。彼は慌てて視線をずらし、段ボールを閉じている冴子の横顔に何か言おうとした。
「あの、遼さん、そろそろ行かないとお父様が……」
「そうだね、行かなきゃ。あの……秋津さん」
「秋津さん、写真が出来上がるの楽しみにしています。ありがとうございました」
カウンター越しに咲と向き合った冴子は、姉のような眼差しで微笑んだ。
「着付けのお稽古がんばってくださいね。お花も始めるんですね」
「はい、いろいろ忙しくなりそうです」
遼は少しでも冴子と言葉を交わそうと、カウンター越しに声を掛けた。
「お疲れさま、手伝うよ」
「ありがとうございます。でもここはすぐに片付き……」
「遼さん、じつはお父様が」
背後で咲の声がした。
「ん?」
「私も遼さんと一緒に来るようにって」
「え、そうなの?」
指示された場所は綾辺が経営する料亭だ。なぜ咲がそこに顔を出すのか。綾辺は仕事の話に娘を同席させるつもりなのだろうか。
見つめている咲の顔がぽっと赤らんだ。彼は慌てて視線をずらし、段ボールを閉じている冴子の横顔に何か言おうとした。
「あの、遼さん、そろそろ行かないとお父様が……」
「そうだね、行かなきゃ。あの……秋津さん」
「秋津さん、写真が出来上がるの楽しみにしています。ありがとうございました」
カウンター越しに咲と向き合った冴子は、姉のような眼差しで微笑んだ。
「着付けのお稽古がんばってくださいね。お花も始めるんですね」
「はい、いろいろ忙しくなりそうです」