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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
「あの、秋津さん、俺、仕事の話で綾辺さんに呼ばれているので先に上がります」
「かしこまりました。あとはご心配なく。お疲れ様でした」

お辞儀をする冴子に「私も呼ばれているんですよ」と嬉しそうに咲が笑う。

「お席が華やかになりますね」

冴子に妙な誤解をしてほしくない遼は少し焦った。

「あ、あれだよきっと。綾辺さんの料亭だから咲ちゃんはいつでも出入り自由なんだ、だから今回も……」
「え、お父様は仕事と家族は切り離して考える人ですよ」

返す言葉もない彼は「確かにそうだね」と言うしかなかった。

「お家元、お時間……」

冴子は特に気にする風でもなく、しらけた場を埋めてくれた。

「うん、咲ちゃん行こう」
「咲さん、時江さんによろしくお伝えください」
「はい、ちゃんと伝えます」

遼は本城達スタッフに後を任せ、咲と共に会場を出た。気が重かった。

(やはり咲ちゃんは俺の事を……)

本城の言葉が気になっていた彼は、今日の友人らの様子や咲の表情を見て、漸く理解した。ただ咲のそれは、幼い頃から見てきた自分を兄と慕う感情から芽生えたもので、もっと社会を知り、様々な異性と知り合えば、本当の恋愛というものを知るだろう。
そう思うものの胃の辺りが重くなった。






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