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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
仲居の後に続き、磨きあげられた廊下を咲と並んで歩いた。
硝子張りの壁一面に広がる日本庭園は格調高く闇に浮かび、高級料亭の風情を存分にたたえている。白砂に置かれた大小の石や苔生した岩、砂紋のうねりが美しい枯山水。遼は華美を控えた冷厳な空間に暫し足を止めて見入った。

「こちらでございます」

案内された部屋に入ると、そこには綾辺豊ともう一人、知らない男が座っていた。

「遅くなりました」
「いやいや、私達も今来たばかりでね。まあ座りなさい遼君、咲もほら」
「はい」

二人は綾辺達の向かい側に並んで座った。

「益田君、こちらが染井流三代目家元の染井遼君、で、隣が娘の咲だ」
「初めまして、益田と申します。以後お見知り置きを」
「よろしくお願いします」

四十過ぎと思われる男は、畏まった様子で遼と名刺を交換した。

「彼はフリーのライターでね。旅行雑誌やその他の紙面でうちのホテルや旅館等を取り上げてくれてるんだ。建設中のホテルも取材の対象になっているらしくて、いや、まぁこっちから紹介してくれと頼んだんだがね、はっはっはっ……」

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