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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
「お父様」
「ん、あぁ。少し先の話なんだが……。ほら、 例の件。わが社と染井流の新しい取り組みに興味を持ったらしくてね、それなら君に直接会ってみたらどうかという流れになったんだよ」

綾辺が益田に先を促した。

「ぜひお家元としての話をお聞かせ願えませんか? 今回は単にホテルオープンを声高に宣伝するだけでなく、生け花という日本文化に足を止め、興味を持って貰えるような内容をと考えています。失礼ながら、まだ世間的にそれほど認知されていない染井流の挑戦を、若々しい家元の姿を交えて紹介させて頂きたいんです」

益田の提案は遼の自尊心を擽り、気持ちを奮い起たせた。これはチャンスだ、染井流が這い上がるチャンス。この期を逃せば二度と巡って来ないだろう。逃す手はない。

「それは願ってもないお話です。喜んでお受け致します」
「ありがとうございます」
「そう言ってくれると思ったよ。遼君、まずは乾杯だ」

染井流の成り立ちから現在に至るまでの歩み。また未来への展望など。ホテルオープンまでの複数回に渡り、撮影も含めた取材を受ける事で話は決まった。

綾辺はいつにも増して機嫌良く饒舌だった。興奮覚めやらぬ遼は何度も立ち上がり、二人への酌を買ってでた。

「遼さん、せっかくのお料理なんですから、ゆっくり食べなくちゃ」
「ははっ、そうだね」


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