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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
旬の魚介を中心とした贅沢な和食を味わい、「美味しいね」と咲と頷き合う。益田は酒がすすんでも改まった態度を崩さず、また、相手を喋らせる能力に長けていた。

「社長、お嬢様は今後……」
「うむ、この跳ねっ返りの娘がビジネススクールに通うと言い出してね」
「お父様、跳ねっ返りは余計でしょ」

頬を膨らませている咲を、遼は意外そうに見つめた。

「咲ちゃん偉いな」
「そ、そうかな……えへっ」

和服を着ていても無邪気な咲に笑いが起こったが、益田はすかさず咲に食いついた。

「それは将来、グループの経営に携わる為ですか?」
「それはええっと……」
「まあ、興味を持つのは悪くないけどまだまだだよ。私としては、客室清掃から始めてもらいたいね」

咲が顔を上げて身を乗り出した。

「お父様それほんと? 明日からでもやるわ。でもスクールには通いますからね。あ、お給料はしっかり頂きます」
「はっはっは、いいだろう、明日にでも人事部にあげておくよ」

冗談なのか本気なのか、終始ご満悦な綾辺を前に、遼は呆気にとられていた。

「社長、頼もしいお嬢様ですね」

益田は感心しつつ、話のついでを装って軽い口調で訊ねた。

「ところで、お二人は幼馴染みだとお聞きしましたが、こうして並んでいるととてもお似合いですね」

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