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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
綾辺親子を乗せたタクシーを見送り、遼は益田の横に並んだ。

「綾辺社長、今回はひとかたならぬ力の入れようで、僕でお役に立てるならと取材を買ってでたんです。かれこれ十五年来の付き合いになります」

遼は、咲について何か言われるのではないかと身構えていた。

「気さくな方で、新米ライターだった僕をいきなりゴルフに誘ってくれた時には驚きましたよ、偉そうな所が全くない、ははっ」
「綾辺さんは誰に対してもそうなんですね、今日改めて思いました」
「ええ、お陰で僕もいろんな方とお会いする機会に恵まれました。あぁ、そうそう二代目とも面識があるんですよ」

遼はニ代目と聞き、驚いて益田を見つめた。

「父ですか?」
「はい、やはり似てらっしゃる」
「え、初めて言われました」
「そうですか? 仕事柄、家族経営の旅館等も取材しますが、親子はどこかしら似ています。同じ道を選んだ場合は特に」
「別に似たくはないですけどね」

遼は冗談めかして言った。

「二代目は、綾辺社長とは全然違います。と言っても悪い意味でありませんよ、独特の感性というんでしょうか、不思議な魅力のある方です」


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