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我が運命は君の手にあり
第9章 第九章
あの男のどこが魅力なのか、どこが自分と似ているのか、遼にとっては煩わしく感じるだけで興味も湧かない。

「僕から見ても、綾辺社長は三代目のあなたを自分の息子のように信頼していて期待も大きいですよ」
「はい、ありがたい事です」

襟を正した遼の態度に益田が目を細めた。

「他人事ながら僕もわくわくしてるんです。良い記事にしますよ」
「えぇ、俺も綾辺さんはもちろん益田さんの気持ちにも応えるよう力を尽くします。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」

向かい合った二人は互いに頷き、硬い握手を交わした。遼はその力強さをエールとして快く受け取った。

「僕は一杯引っかけてから帰ります。年が明けたら一度ご連絡差し上げますので」
「はい、お待ちしてます」

重そうなカメラケースを肩に掛け、益田は足取り軽く立ち去った。夜風は冷たかったが、遼は満たされた気持ちで空を眺めた。冴子に会いたい。この嬉しさを共に喜びたかった。他の事はどうでもいい。とにかく冴子の顔が見たい。抱き締めて、あの身体を心ゆくまで貪りたい。

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