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我が運命は君の手にあり
第10章 第十章
染井が沸かしてくれた風呂で疲れを癒し、髪を乾かした冴子は板の間に戻ってきた。囲炉裏の真ん中に置かれた鉄鍋から湯気が立ち上っている。

「旦那様、気持ちの良いお風呂、ありがとうございました。あの、このスウェット、サイズぴったりです」

「そうか良かった。その格好もなかなか似合ってるよ」

染井は鍋の蓋を取り、お玉で中を軽く混ぜた。

「雑炊を作った。お椀によそってあげるから食べなさい。 ……ん? なんだその顔は」

「いえあの、旦那様が食事の用意なんて……」

「ここでは何でも一人でやるからね。腹が減っているだろう。食事が済んだら工房で土を捏ねてみないか」

「じつはちょっとやってみたかったんです」

「そうか」

冴子が食事をする間、染井は紙袋を持ってきて新しい靴下とジャンパーを取り出した。

「これも君に。たぶん合うだろう」

「お気遣いありがとうございます」

作務衣を着た染井は胡座をかき、モスグリーンのジャンパーを広げてサイズを確認している。意外な一面を次々と覗かせる彼に頬が緩んだ。

「何がおかしい」

「いえ、何も」

「何もないのに笑うのか君は」

「いえ、この雑炊が凄く美味しいのでつい」

「うむ、温まるだろう」

「はい」


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