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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
「最善を尽くします」
益田は折に触れ、ひと回り近く年下の遼を勇気づけ、自信を持たせた。けれども彼の口から綾辺の名が出る度に、遼の心にさざ波が立つ。
またとないチャンスを掴み、前進する事のみに集中したい。だがそこに、無視できない咲の存在があった。
「ところで咲さんは、ビジネススクールを出たあと、本当にホテルのベットメイキングを始めたらしいじゃないですか」
「ええ」
「へぇ、咲さんすごーい」
咲の話題に皆が食いついた。
「ただのお嬢様だと思ってた」
「花展の時は差し入れ持ってきてくれるしな」
「うん、どれも全部旨いんだよこれが」
「そこじゃなーい」
皆笑ったが遼は笑わなかった。
「益田さん、もう一軒行きませんか?」
「喜んで」
遼は会計を済ませ、スタッフへの言伝を頼んで益田と店を出た。
二人は無言で歩き、路地を曲がってすぐの小さな店に入った。カウンターだけの店内に人影はない。
「いらっしゃい」
奥から厚化粧のくたびれた女出てきた。
「ハイボールを」
「俺も同じもので」
益田は折に触れ、ひと回り近く年下の遼を勇気づけ、自信を持たせた。けれども彼の口から綾辺の名が出る度に、遼の心にさざ波が立つ。
またとないチャンスを掴み、前進する事のみに集中したい。だがそこに、無視できない咲の存在があった。
「ところで咲さんは、ビジネススクールを出たあと、本当にホテルのベットメイキングを始めたらしいじゃないですか」
「ええ」
「へぇ、咲さんすごーい」
咲の話題に皆が食いついた。
「ただのお嬢様だと思ってた」
「花展の時は差し入れ持ってきてくれるしな」
「うん、どれも全部旨いんだよこれが」
「そこじゃなーい」
皆笑ったが遼は笑わなかった。
「益田さん、もう一軒行きませんか?」
「喜んで」
遼は会計を済ませ、スタッフへの言伝を頼んで益田と店を出た。
二人は無言で歩き、路地を曲がってすぐの小さな店に入った。カウンターだけの店内に人影はない。
「いらっしゃい」
奥から厚化粧のくたびれた女出てきた。
「ハイボールを」
「俺も同じもので」