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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
「他に付き合っている人でも?」
益田がカシューナッツを口に入れ、遼にもすすめてくる。
「ええいます。だから咲ちゃんとの結婚は無理なんです」
「僕ならその人と別れますね。それ以外の正解はありません」
「……彼女を裏切る事はできません」
「なるほど。ではすべてを失うしかありませんよ。お家元、あなたのせいで皆が路頭に迷うかもしれない。綾辺社長の期待を裏切るんですから」
「まさかそんなことは」
「僕は綾辺社長をよく知ってるんですよ。まあ、それはいいとして、愛なんてまやかしですよ、幻想に過ぎません」
違う反応を期待していた遼は口をつぐんだ。欲しかった心強い助言はなく、ありきたりの忠告だった。しかも、愛を否定して。
「ところで、少し気になるんですが」
「はい」
「お相手の方は喜んでくれるんですか?」
「え?」
「あなたが周囲からの期待を裏切ってでもその人を選んだら……、彼女は喜んでくれますか?」
益田は少し笑っていたが、遼はすぐに答えた。
「そんな人ではありません」
「ほう、よかったですね」
益田は「おかわりくださーい」とカウンターの奥に声を掛け、遼の分もハイボールを注文した。
「飲みましょう、飲むに限る」
益田がカシューナッツを口に入れ、遼にもすすめてくる。
「ええいます。だから咲ちゃんとの結婚は無理なんです」
「僕ならその人と別れますね。それ以外の正解はありません」
「……彼女を裏切る事はできません」
「なるほど。ではすべてを失うしかありませんよ。お家元、あなたのせいで皆が路頭に迷うかもしれない。綾辺社長の期待を裏切るんですから」
「まさかそんなことは」
「僕は綾辺社長をよく知ってるんですよ。まあ、それはいいとして、愛なんてまやかしですよ、幻想に過ぎません」
違う反応を期待していた遼は口をつぐんだ。欲しかった心強い助言はなく、ありきたりの忠告だった。しかも、愛を否定して。
「ところで、少し気になるんですが」
「はい」
「お相手の方は喜んでくれるんですか?」
「え?」
「あなたが周囲からの期待を裏切ってでもその人を選んだら……、彼女は喜んでくれますか?」
益田は少し笑っていたが、遼はすぐに答えた。
「そんな人ではありません」
「ほう、よかったですね」
益田は「おかわりくださーい」とカウンターの奥に声を掛け、遼の分もハイボールを注文した。
「飲みましょう、飲むに限る」