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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
約束の日の午後二時半、待ち合わせ場所で助手席に乗り込んできた益田は、駅前にある洋菓子店の箱を持っていた。
愛用のカメラを後部席に置いた彼は、「よろしくお願いします」と頭を下げた。

「三十分程しか時間が取れないのですが大丈夫ですか?」

遼は、駅近くのカルチャーセンターでの仕事が待っていた。

「もちろんです。私も別の取材がありますので。お互い忙しいのはいいことですよ、ははっ。ところでお家元、事務局のスタッフは何人ですか?」

「六人です」

「よかった。八個あれば喧嘩はしませんね」

「そんなに気を使う必要ないですよ」

「いえ、ほんのご挨拶です。ケーキを前にして嫌な顔をする女性はいないでしょうから」

「残りの二個で揉めますよ」

「はははっ、その責任は持ちません」

十日ぶりに冴子に会える。遼はそれだけで胸が高鳴った。とにかく今は、彼女に余計な気を使わせないように、そして、これ以上は距離を置かないようにしなければならない。
遼は毎晩戦略を練っていた。その作戦は、どんな困難に見舞われても解決でき、必ず結実するというもので、結果、不安は自信に変わり、彼は安心して眠りに落ちていた。

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