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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
「はい、ケーキはみんな大好きですので喜んでます。ありがとうごさいます」

冴子が少し微笑むと、益田はその目を真剣に見つめた。唾を飲む音さえ聞こえてきそうだ。

「では、失礼します、どうぞごゆっくり」

冴子が出ていくと、益田は静かにため息をついた。そして、遼がコーヒーを口にしてカップを置くまで黙っていた。

「間違っていたらすみません。確認しておきたいんですが、お家元のお相手というのは……秋津さんですか?」

「……そうです」

前のめりだった益田が、力が抜けたように背もたれに沈んだ。誤解は解いておかなければならない。彼は益田への苛立ちも手伝って、事実をあっさりと認めた。

「……なるほど」

益田はようやくコーヒーに手をつけた。

「どなたかそれをご存じの方は」

「いませんよ。……みんなが望んでいるのは咲ちゃんとの事ですから」

「なるほど。まあ、当然でしょうね。とてもお似合いですし、あんなに若くて可愛い方に一途に想われて、お家元は幸せじゃないですか」

愛などまやかしだと言った男が、咲の気持ちは一途だという。益田の魂胆は見えていた。

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