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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
「病弱な祖母を看ているので時間の融通がきく仕事の方が働きやすいんです。あの、それより私が割ってしまった花瓶のお詫びしたいんです。はっきり仰ってください。もし足りなければ少しずつでも、必ず弁償させて頂きますので」
「君がお婆様の面倒をみているのか。親御さんは?」
「……はい、私が生まれて直ぐに父が事故で亡くなり、その後すぐ、母は、別の男性の元へ行ったきり」

焦りと苛立ちが真実を吐き出させた。嘘や誤魔化しで自分を飾りたくなかった。分かりやすく、母に捨てられたと言った方がよかっただろうか。

「ふむ」

染井は水盤を見つめて押し黙った。冴子は花と彼の顔を何度も見返し、漂う空気への不安を募らせていった。

「なるほど……」

低い声が響いた。

「あの……」

湯飲みを掴んでぐいと飲み干した彼は、茶托にそれを戻すなり、「君に手伝って貰いたい仕事がある」と言った。

「え……」
「悪いようにはしないから、私の言う通りにしなさい。ちょうど人手が足りなくてね。君が来てくれたらみんなが助かる」
「ちょっと待ってください、私が今日ここに来たのは……」

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