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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
「詫びだろう? それならその詫びとしてうちで働いてくれたらいい。もちろんそれ相応のものは支払うよ。昨日の花展の受付に和服の女性がいただろう? 彼女が辞めてしまうんだが次の人が見つからなくてね」
「いえあの、でも私、生け花の事なんて何も……」
「わからなくていい。……いや、わかるじゃないか。君はあの花に自分を重ねていたんだろう。私もだよ、あれが家元として最後のつもりで生けたんだ。椿の如く潔く散る、私の思いが君を引き寄せたのかな、ふふっ。自然に落ちるのを待たずに、たった今この手で切り落としてしまったがね、あはは……」
染井は愉快そうに笑い、冴子は眉を潜めた。
「あれを気に入ってくれたなんて光栄だよ。とくに君のような女性に」
言葉につまる冴子の後で「失礼します」と襖が開いた。
「時江、この人を雇う事にした。遼もこれから忙しくなるだろうからね。そうだ、すまないが着付けを教えてやってくれ。細かいことは後々決めよう。……ん? 栗羊羮か、ありがとう、大好物なんだよ、私の好みを知ってたのかね、ははは……」
「いえあの、でも私、生け花の事なんて何も……」
「わからなくていい。……いや、わかるじゃないか。君はあの花に自分を重ねていたんだろう。私もだよ、あれが家元として最後のつもりで生けたんだ。椿の如く潔く散る、私の思いが君を引き寄せたのかな、ふふっ。自然に落ちるのを待たずに、たった今この手で切り落としてしまったがね、あはは……」
染井は愉快そうに笑い、冴子は眉を潜めた。
「あれを気に入ってくれたなんて光栄だよ。とくに君のような女性に」
言葉につまる冴子の後で「失礼します」と襖が開いた。
「時江、この人を雇う事にした。遼もこれから忙しくなるだろうからね。そうだ、すまないが着付けを教えてやってくれ。細かいことは後々決めよう。……ん? 栗羊羮か、ありがとう、大好物なんだよ、私の好みを知ってたのかね、ははは……」