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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
交差点を過ぎた車は、益田を乗せた待ち合わせ場所で停車した。

「いろいろと気にさわる事を言って申し訳ありませんでした。口が過ぎました」

「俺も、ついむきになってしまって……」

「ホテルオープンまで一年を切りましたね。僕は染井流の発展を心から願っていますし、若いお家元の歩みを見届けたいんです。個人的な興味もありますし」

「ありがとうございます」

本当は誰に興味があるんだ、と遼は思った。益田は一度外に出て、後部席から重そうなカメラバッグを下ろした。

「では、また日を改めてお邪魔します。今日はお忙しいところ、ありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました。ご連絡お待ちしてます」

益田の背中を見送った遼は、冴子にメールを送った。

――お疲れ様です。少し話がしたい。仕事が終わったらアパートにいきます。長居はしません、すぐに帰ります。

とにかく会いたかった。益田のせいでざわついた気持ちを落ち着かせたい。他愛ない話でいい。目を合わせただけで分かる互いの気持ちを大切にしたい。何をおいても、あの不躾な男に恋路を邪魔されるのが我慢ならなかった。







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