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我が運命は君の手にあり
第11章 第十一章
「どうぞ」
茶托にのった湯呑みが置かれた。
「ありがとう。ごめん、手土産も持たずに来てしまって」
「そんな事……」
冴子が緊張しているのが見てとれた。
「久しぶりだね」
「はい」
「事務局も忙しくなってきたでしょう?」
「はい、でも手分けしてやっていますので大丈夫です。お家元こそ、お忙しいのにわざわざ……」
「遼でいいよ」
彼は笑った。
「……すみません」
冴子は彼が茶を口にするのを待って自分もひと口飲んだ。雑音の入らない、静かなひと時だった。午後から持ち続けていた苛立ちを忘れ、安らぎを実感した彼は、伏し目がちな冴子の顔から手元に視線を落とした。
「あれ、その湯呑み手作り?」
「え?」
はっとした冴子は、湯呑みから手を離した。
「厚みもあるし、縁が少し歪んでて個性的だからさ」
冴子は両手を膝に置き、薄緑色の湯呑みをじっと見ている。
「違う?」
茶托にのった湯呑みが置かれた。
「ありがとう。ごめん、手土産も持たずに来てしまって」
「そんな事……」
冴子が緊張しているのが見てとれた。
「久しぶりだね」
「はい」
「事務局も忙しくなってきたでしょう?」
「はい、でも手分けしてやっていますので大丈夫です。お家元こそ、お忙しいのにわざわざ……」
「遼でいいよ」
彼は笑った。
「……すみません」
冴子は彼が茶を口にするのを待って自分もひと口飲んだ。雑音の入らない、静かなひと時だった。午後から持ち続けていた苛立ちを忘れ、安らぎを実感した彼は、伏し目がちな冴子の顔から手元に視線を落とした。
「あれ、その湯呑み手作り?」
「え?」
はっとした冴子は、湯呑みから手を離した。
「厚みもあるし、縁が少し歪んでて個性的だからさ」
冴子は両手を膝に置き、薄緑色の湯呑みをじっと見ている。
「違う?」