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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
夏の花展が近くなると、野田と糸川が目に見えて張り切りだした。と言うのも、二人は花展の受付担当を申し出て、守沢に了承されたからだった。
各教室へ配布する案内は早くから封書にして切手を張り、あとは投函するだけだった。印刷されたパンフレットが届く間、紙コップ等の備品の在庫を調べて守沢に報告し、必要なものを買い足して段ボールに積め込んだりもした。
受付の役目は当然冴子の役目だったが、彼女達にとってはそれが羨ましくて仕方なかった。特に今回は取材が入る。裏方として写真に写るより、着物姿で撮られたい。まず二人は、無理を承知で冴子に相談した。冴子はそれを快諾し、守沢に進言したのだった。
花展開催の十日前、冴子は夏物の着物一式を職場に持参した。
「本当に良いんですか? 」
何度も二人に問われ「本当にいいのよ」と繰り返す冴子。
計算機を叩いていた守沢が怪訝な顔を向けた。
「あなた達、ほんとに大丈夫なの?」
各教室へ配布する案内は早くから封書にして切手を張り、あとは投函するだけだった。印刷されたパンフレットが届く間、紙コップ等の備品の在庫を調べて守沢に報告し、必要なものを買い足して段ボールに積め込んだりもした。
受付の役目は当然冴子の役目だったが、彼女達にとってはそれが羨ましくて仕方なかった。特に今回は取材が入る。裏方として写真に写るより、着物姿で撮られたい。まず二人は、無理を承知で冴子に相談した。冴子はそれを快諾し、守沢に進言したのだった。
花展開催の十日前、冴子は夏物の着物一式を職場に持参した。
「本当に良いんですか? 」
何度も二人に問われ「本当にいいのよ」と繰り返す冴子。
計算機を叩いていた守沢が怪訝な顔を向けた。
「あなた達、ほんとに大丈夫なの?」