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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
「そうは言ってもカメラマンとしての需要は今もあるんですよ。駆け出しの頃は選り好みしている場合じゃなかったので、呼ばれればどこへでも行きましたよ。おかげでそこで知り合った綾部社長にはライターとしても取り立てて頂けるようになって、今は頭が上がりません、ははっ……」

益田は冴子の無関心など気にならないようで、機嫌よくハンドルを右に切った。

「どんな需要があると思いますか?」

「……さぁ、私にはさっぱり」

「まぁそうですよね」

帰宅時間と重なって道は混んでいた。信号待ちの最後尾についた益田はサイドブレーキを引き、後部席に手を伸ばした。ファスナーを開く音がした。

「こういう事もやってるんです、よいしょっと……、ちょっと持っててくれますか?」

一冊の分厚いファイルを冴子に渡すと、彼は前を気にして車を少し前進させた。

「開いてもらって構いませんよ。本来人に見せる物ではないんですけどね」

「はぁ……」

冴子は持ってきた紙袋を足元に下ろし、膝の上で黒いファイルを開いた。

「ははっ、五ページほど捲らないと何も出てきません」

A4サイズのクリアポケットには黒い台紙が入っていて、冴子はそれを一枚づつ捲っていった。

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