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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
益田は車から降りなかった。シートベルを外し、残り一本となった煙草を咥えると窓を開けて火をつけた。

「事務局であなたに会った時は嬉しかったなぁ。我が目を疑いましたよ」

「前にお会いしたことがありましたか?」

「ないですね。でもあなたの事はよく知っています」

益田の目は、吐いた煙の行方を追っていた。

「仰っている事がよくわかりませんけど」

冴子は少し笑った。

「見間違えるわけがないんだ。夢に見る程だったんですから」

冴子の笑顔が消え、気味の悪さに背筋が凍った。

「ここで降ります」

「ちょっと待ってください。まさか、僕をストーカーだと思ったんですか?」

「……」

「話を最後まで聞いた方がいいですよ。それ、もっとちゃんと見てください」

煙草を揉み消した彼は肩を寄せ、左手を伸ばしてファイルを捲りはじめた。
椅子に括り付けられている女、木製の十字架に張り付けにされた女、天井から吊るされた女。どれもが縄で縛られて脚を大きく開き、陰部を晒している。中には複数の男の手に弄ばれ、身を捩らせている女や、荷物のように吊り下げられたまま男と交わっている者もいた。

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