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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
その女の上をじりじりと指が動く。冴子は自分の肌を撫でられているような錯覚に陥った。

「ほら、いいでしょう? この赤い花の萼(がく)の辺りから溢れている白い液体……」

指が女陰の縁をなぞり、精液の滴りを楽しむように下っていく。

「やめて! 触らないで!」

益田の手を払いのけた冴子は、ファイルを勢いよく閉じた。

「言ったでしょう? 僕はあなたをよく知っているんです、ふふっ、全てをね」

彼はそう言うとファイルを後ろの席に戻した。

「違う、違います、そんな女は知らない、私じゃない……」

「こういう作品はフィルムで撮影される事が多いんです。デジカメと違ってなかなか味のある良いのになるし、写真一枚への思い入れも強くなる」

熱心にカメラの説明を始めた益田に対して、冴子の心は嵐の中にあった。

「僕は撮影だけでなく、フィルムの現像もお受けしているんです。彼らがこんな写真を町のカメラ屋に出せるわけありませんからね」

「……っ」

――君は私の作品だ

嵐は尚も強く吹き荒れる。

「このファイルの中身は誰も知りません。いわゆる僕の戦利品です。……でも驚きましたよ、二代目のお相手が染井流の事務局にいる方だったなんて。しかも、何も知らない三代目はあなたに夢中だ」

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