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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
「やめてください!」

冴子が叫ぶと、ふいに顎を強く引かれた。

「な、なに……」

唇が震えていた。

「ふっ……、そんな顔で誘うんだから、どんな男でも理性を失いますよ」

親指が冴子の下唇をなぞった。

「あなたはその辺の男の手には負えないでしょう。二代目のような方しにか調教できない」

(調教……)

激しくなる鼓動と呼吸の乱れは、益田に対する恐怖なのか、恥辱への期待なのか。冴子は後者でないことを祈った。蔑む視線が唇に下りてきて、無精髭を貯えた唇が薄く開いて迫ってくる。

「や、やめて」

冴子は彼の瞳に懇願した。

「ふっ……、だから、そんな目で誘わないでくださいよ。残念ながら僕は至って冷静です。あぁ、ほら、見られてますよ、……まさか、人の視線に晒されたいんですか? 僕は構いませんよ。なんなら今すぐ、あの写真のようにあなたの口で僕の……」

「馬鹿にしないで!」

冴子の平手が空を切り、益田はその手首を強く掴んだ。

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