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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
「三代目と別れてください。彼は咲さんと一緒になる道しかないんです。彼の煮えきれない態度に、綾部社長は痺れを切らしています。咲さんの気持ちを痛いほど知っていますからね。どうせあなたは彼だけでは満足出来ないじゃないですか。彼はあなたの事を一途だと信じているようですが、二代目との秘め事に縛られているあなたのどこが一途なんだ。はっ、愛なんてまやかしだ、そうでしょう?」

「痛い、離して」

「いいですか、あなたが彼と別れないなら、僕はあの写真を彼に……」

「わ、私は、いなくなります」

「……え?」

「退職して、彼の前から消えるつもりです。だから、彼には知らせないで……お願いします」

益田はハンドルに両手を置いて沈黙した。

「彼の前から消える……なるほど、何も知られないままか、まぁ、もし知られたら地獄を見るのは彼ですからね」

冴子の手首は熱く震えていた。屈辱的な言葉を浴び、無礼な振る舞いに戦く一方で、汗ばんだショーツの奥はぐっしょりと濡れ、突き刺すような益田の視線を欲している。そう、染井剛介のような……

愛なんてまやかし
こんな私に愛なんて語れない


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