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我が運命は君の手にあり
第12章 第十二性
「時間が経てば、……彼の立場が彼の気持ちを変えるでしょう。たとえ嘘でも、そうでなければ、彼はすべてを失う事になる。綾部社長のひと言で、染井流は簡単に、いつでも空中分解するんです。社長はそれを平気でやってのける人だし、そのやり方でグループを大きくしてきたんです」

益田の横顔は真実を語っていた。自分の存在など、音もなく弾ける泡のようだと冴子は思った。遼は何もわかっていない。彼を破滅させるわけにはいかない。

「私、花展が終わって通常に戻ったら退職します」

「……この前取材の時にいなかったのは、先を見越しての事ですか?」

冴子は返事をしなかった。

「あの写真、返してください」

「あれは僕の所有物です。でも、あなたの今言った事が実行されたらすぐに処分しますよ。……ははっ、信じられないなら差し上げてもいい、その時は連絡ください」

自分を詰(なじ)っていた男の顔が、穏やかになった。あの非礼は、娘を思う綾部豊の為だけなのか。

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