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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
「遼さん、何かあったんですか?」

「あ、いや別に」

本城が一歩前に出て、咲に微笑んだ。

「いらっしゃい咲さん。今、お家元にちょっと良いお話しが舞い込んできて、気が動転しているんです、ふふっ、良い意味でね。さあさあ取り敢えず中にどうぞ、今日は野田さんと糸川さんが受付だったんですよ」

咲は本城に「なるほど」と唇だけで答え、受付を覗いた。

「わぁ、ほんとだ、素敵なお着物」

「咲さん、お久しぶりです」

「待ってたんですよー」

「お疲れ様です、お邪魔しまーす」

彼女達の声は、テレビから漏れてくる雑音のようだった。現実味を失っていた遼は、ずっと様子を伺っていた益田と目があった。

「お家元、どうしました?」

「いえ何も。俺、ちょっと電話をかけてきます」

エレベーターホールまで来た彼は、震える指で携帯電話の画面を叩いた。
なぜ辞める。なぜ俺に何も言わなかったんだ。

「はい、染井流事務局です」

「あ、守沢さん? 秋津さんに代わってください」

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