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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
「なら適当に言っといてください」

エレベーターが開き、乗り込もうとする遼の腕を益田が掴んだ。その力強さと厳しい視線に、遼は一瞬たじろいだ。

「彼女に、秋津さんに会いに行くんです。俺に黙って辞める理由が知りたい」

「辞める?」

遼が隙をみてエレベーターに乗ると、益田は両腕を開き、ドアが閉まるのを防いだ。

「黙って辞める理由? はっ、そんな事もわからないのか。あなたの為ですよ、いや、染井流の為でもある。秋津さんが本当の事を言うと思ってるんですか? さあ、このまま咲さんの元に戻ってください。打ち合わせは来週に延期したと言えば丸く収まります。さぁ早く」

一階のボタンを押した遼は、エレベーターの奥に下がった。

「彼女は俺に嘘なんてつきませんよ。あぁ、後で顔は出しますから、みんなにそう伝えてください。なんなら彼女を連れてきます、みんな会いたがっているので」

「なぜわからないんですか、行っても無駄だ、やめた方かいい。一生後悔する事になりますよ」

「後悔? ははっ、今行かなければそれが、俺の人生で、ただひとつの後悔になるんです。そこをどいてください」

「あなたはどうしようもない馬鹿だ」

ため息をつく益田を睨みつけ、遼はゆっくりと首を振った。

「益田さん、その言葉、よく覚えておきますよ」






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