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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
「まあ、お家元、お疲れ様です。旦那様はお出掛けですが……どうかなさいましたか?」

遼が父親の所在を確認する事はめったになかった。

「いや……」

「食事会の方は如何です? 咲さんもご出席と伺いましたが」

「あぁ、来てるよ。時江さん、親父が今どこにいるかわかる?」

「工房だと思います。あの、お家元、旦那様に何か、……もしもし、もしもし?」

「……え? あぁ、いや、ちょっとね。今日は遅くなるから先に寝てて。明日は休みだから起こさなくていいよ」

「承知しました」


冴子のアパートに車を走らせた。顔を合わせれば気が晴れる。互いに気を使い過ぎて誤解を招いているだけだ。別にいいじゃないか、焼き物に興味があって、たまたま親父に教わった。彼女の事だ、親父を嫌っている俺には言いにくかったに違いない。退職の件もそうだ、引き止めはしない。腹を割って話せば互いの思いを理解し合える。
様々に思いを巡らせながら、彼は強く願った。
冴子、家にいてくれ……

アパートに近づくにつれ、彼の望みはそれだけになった。

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