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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
その一方で、家元を襲名してからは、父の功績を肌で感じ、多少なりとも理解できた。何より女の噂が途絶えた事が、ささくれていた遼の心に変化をもたらしつつあった。
彼はアクセルを踏み、駐車場を出た。

(冴子が入れ違いで施設に着いたなら、俺に連絡してくる筈だ)

遼は携帯の着信音を最大に設定して、工房に向かった。重苦しい気持ちでいながら気が急いてスピードが出る。知りたくない気持ちと、突き止めたい思い。

「馬鹿だな、何があるっていうんだよ」

彼は電話を待ち、アクセルを緩めたかと思うとまた踏み込んだ。すれ違うバスに、冴子が乗っているのではと振り向き、つい追い掛けたくなる。落ち着けと自分に言い聞かせ、これはただの杞憂だと苦笑いを繰り返した。
もうすぐ彼女の気遣いから生じた誤解はとけ、互いにほっとして笑うだろう。

二人には何もない、冴子を信じてないのか、彼女はそんな女じゃない。

「ふっ、俺ってほんとに馬鹿」

見覚えのある小道を曲がり、車は砂利道をゆっくりと進んだ。


………………………



おかしな所は後々修正します。
いつもありがとうございます。

RIN
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