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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
遼は、砂利の音を立てないよう窓に近づいた。
ガラス窓は開いていた。風通しの為か、障子が指二本程開いている。物音はなく、天井から下がった明かりが見える。顎の高さの窓枠を前に、一歩踏み出した彼は、背伸びして部屋を覗いた。

「……」

赤い布団の上に誰かがいる。黄色い蝶が舞う赤い長襦袢をふわりと掛けられ、二本の白い脹ら脛だけが裾からはみ出ていた。片方の足首には赤い縄が巻かれ、その縄先は、幾重にも巻かれて畳の上に捨てられている。視線を戻せば布団の隅に、男性器に似せた黒い性具やその類いの大小様々な道具。更に染みの広がったシーツと縄が括りつけられた床柱。そこは、生々しい凌辱の現場だった。
彼は肩の荷を下ろした。

(あの女は誰なんだ……)

父の性的嗜好に唖然としながらも、それに応えたであろう女から目が離せない。
いったいどんな女を連れ込んだのか。眠っているのか気を失っているのか。ぴくりとも動かないその足首に目を奪われていた彼は、けたたましく鳴り出した着信音に飛び上がった。

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