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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
(これ、私?)

立ち上がり、姿見の自分に見入っていると、背後から時江が「女はひとりで泣くものですよ」と言った。
詮索するわけでも慰めるでもない平坦な物言いに、冴子は「はい」と素直に答えた。

「旦那様がお待ちです。きっと気に入ってくださる筈です」

時江のか細い背中は、今や頼れる背中だった。

――ひとりで泣くものですよ

(ずっとそうしてきた、ずっと……)

足の運びを真似て小股で歩くと、着物が身に馴染んでくる。自然に背筋が伸び、誇らしげに胸を張った。



「……うむ、思った通りだ。さすがだよ時江、ごくろうさん」

機嫌良く腕を組んだ染井は、襖を背に立つ冴子に遠慮のない視線を浴びせる。

「暫くはここに通って時江にいろいろ教わるといい。明日にでも履歴書を持って来なさい、いいね、……ん?」
「……はい」

すでに心は決まっていた、鏡に映る自分と向き合った時に。

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