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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
車を走らせていた。二人に何を叫んだのか、覚えていなかった。父の茫然とした顔と、背中を向けたままの冴子。二人の姿が目に焼き付いている。

――旦那様が好き、好き、好き

「はっ……、俺はいったい何なんだ!」

あの場で父を殴り殺さなかった事を後悔した。見境なく女に手を出す男。いや、あいつは何も知らない。裏切ったのは冴子の方ではないか。あの乱れ様。大人しい顔で親父を誘い、息子である俺にも抱かれて悦に入っていたのか。
淫欲に耽る冴子の姿が消えない。あの淫らな妖婦は、遼の知らない女だった。

惨めさと憎しみが押し寄せ、女の柔肌を引き裂いてやりたくなる。思うままに凌辱の限りを尽くす。冴子はそういう事が望みなのだろう。親父に懇願し、俺には望めない願いを叶えてもらっていたに違いない。

――旦那様が、好き……

縛られて悦び、性具での攻めに感泣する恋人を冷ややかに見つめた。あの身体、あの唇。想像するのは驚くほど容易い。彼は冴子を張り付けにして足を開かせ、容赦ない攻め苦を与えた。身体をくねらせ、涙と汗、体液にまみれて戦慄く冴子を、汚らしく見つめた。

「好き者の親父とはお似合いだ、ふっ、淫乱め……」

着信音に驚いた彼は、路肩に車を止めた。

「お家元、今大丈夫ですか? 」

益田だった。

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