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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
――旦那様が好き、好き、好き
遼が待ち続けた言葉を、父に熱く浴びせかけた冴子。
(冴子はあいつを愛していた)
彼は憎しみを募らせながら考え続けた。誰が見てもわかる高価な着物や簪(かんざし)、質の良い洋服。あんなに見窄らしかった女が、早々に準備出来たのか。祖母がいる施設、待機数の多い涼風の森に、すんなりと入居できたのはなぜだ、入居時のまとまった金は?
祖母の入院や通院に時間を取られていた彼女に、そんな蓄えがあったのか。すると当然、遼の目には染井剛介の姿がみえてくる。
「二人ははじめから ? ……ふ、ははっ、あははははは……なんだよ、何を見てたんだ。俺の一人芝居だったってことか……あはははは……」
泣きながら笑っていた。笑うしかなかった。彼は目を擦って前を睨み、平和で呑気な街を意味もなく走り回った。
益田の待つ店についたのは、深夜一時半を少し過ぎた頃だった。
遼が待ち続けた言葉を、父に熱く浴びせかけた冴子。
(冴子はあいつを愛していた)
彼は憎しみを募らせながら考え続けた。誰が見てもわかる高価な着物や簪(かんざし)、質の良い洋服。あんなに見窄らしかった女が、早々に準備出来たのか。祖母がいる施設、待機数の多い涼風の森に、すんなりと入居できたのはなぜだ、入居時のまとまった金は?
祖母の入院や通院に時間を取られていた彼女に、そんな蓄えがあったのか。すると当然、遼の目には染井剛介の姿がみえてくる。
「二人ははじめから ? ……ふ、ははっ、あははははは……なんだよ、何を見てたんだ。俺の一人芝居だったってことか……あはははは……」
泣きながら笑っていた。笑うしかなかった。彼は目を擦って前を睨み、平和で呑気な街を意味もなく走り回った。
益田の待つ店についたのは、深夜一時半を少し過ぎた頃だった。