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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
店内は落ち着いていて、彼らの他に二組の客が静かにグラスを傾けていた。遼は入り口に近い席に座り、腕組みする益田の前で、二杯目の生ピールを飲み干した。

「スタッフの皆さんは、二十分程前にお帰りになりました。断れない付き合いばかりでお家元も大変だね、って同情なさってましたよ」

「情けないな、ははっ。……あ、すみません、もう一杯ください」

店員に追加を頼んだ彼は、にこりともししない益田を見据え「こんなに不味いビールは初めてです」と苦笑いを浮かべだ。

「お家元、笑える話ってなんですか」

「ちょっと待ってください。あ、きたきた」

テーブルに置かれた中ジョッキを握った彼は、喉に半分流し込んだところで一息ついた。

「見たんですよ、あの二人が楽しんでるところを」

「え?」

益田が腕組みを解き、よく聞こえなかったという素振りで身を乗り出した。

「俺の存在に気付きもしないで、切なげにをやつを誘って、……目の前で、俺の目の前でやつら……」

益田は無言で遼を見つめた。


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