この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
店内は落ち着いていて、彼らの他に二組の客が静かにグラスを傾けていた。遼は入り口に近い席に座り、腕組みする益田の前で、二杯目の生ピールを飲み干した。
「スタッフの皆さんは、二十分程前にお帰りになりました。断れない付き合いばかりでお家元も大変だね、って同情なさってましたよ」
「情けないな、ははっ。……あ、すみません、もう一杯ください」
店員に追加を頼んだ彼は、にこりともししない益田を見据え「こんなに不味いビールは初めてです」と苦笑いを浮かべだ。
「お家元、笑える話ってなんですか」
「ちょっと待ってください。あ、きたきた」
テーブルに置かれた中ジョッキを握った彼は、喉に半分流し込んだところで一息ついた。
「見たんですよ、あの二人が楽しんでるところを」
「え?」
益田が腕組みを解き、よく聞こえなかったという素振りで身を乗り出した。
「俺の存在に気付きもしないで、切なげにをやつを誘って、……目の前で、俺の目の前でやつら……」
益田は無言で遼を見つめた。
「スタッフの皆さんは、二十分程前にお帰りになりました。断れない付き合いばかりでお家元も大変だね、って同情なさってましたよ」
「情けないな、ははっ。……あ、すみません、もう一杯ください」
店員に追加を頼んだ彼は、にこりともししない益田を見据え「こんなに不味いビールは初めてです」と苦笑いを浮かべだ。
「お家元、笑える話ってなんですか」
「ちょっと待ってください。あ、きたきた」
テーブルに置かれた中ジョッキを握った彼は、喉に半分流し込んだところで一息ついた。
「見たんですよ、あの二人が楽しんでるところを」
「え?」
益田が腕組みを解き、よく聞こえなかったという素振りで身を乗り出した。
「俺の存在に気付きもしないで、切なげにをやつを誘って、……目の前で、俺の目の前でやつら……」
益田は無言で遼を見つめた。