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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
瞼の裏で再生される場面は、より生々しく妄りがましい。それを隙間から覗いていた自分の哀れさと惨めさが、恨みとなって胸に貯まっていく。恋する思いの置き場所は、悔しさと怒りにすげ替わった。彼は、この先消える事のない記憶を恨むしかなかった。

「けだもの……」

二人に叫んだ言葉を思い出した。

「なんです?」

「やつらの事ですよ」

三杯目を飲み干し椅子にもたれ掛かった。ジョッキを眺め続ける彼の目に、父の腰にすがって口淫する冴子の唇が大きく映る。

「秋津さんの退職を止める必要はなくなりましたね」

「良い去り時だったんでしょう。彼女にとって俺は、ちょっとしたつまみ食いに過ぎませんから」

「……そうかな」

「あいつに好きだと叫んでいましたよ、切なげに、何度も。……ひょっとして益田さん、好みのタイプでしたか? だとしたら残念でしたね」

益田は鼻を擦り、「あはは、まさか」と笑った。

「お家元、良い機会です。早く気持ちにけりをつけて前に進んでください。こんな事で立ち止まってる暇はないですよ」

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