この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
我が運命は君の手にあり
第14章 第十四章
折り紙も編み物も、引出しに収まったまま忘れられている。食は細くなり、下の世話が必要になっていた。
「よく噛んでね」
柔らかく煮た人参をスプーンで口に運び、唇から垂れた煮汁をガーゼで拭った。
「すみません、ありがとうございます。あぁ、もうお腹いっぱい。いつもおいしいご飯をありがとうございます」
「おばあちゃん、もう少し食べようよ。ほら、あとひと口」
「そろそろ帰らなくちゃ。息子の省吾がね、お腹を空かせて待ってるんですよ」
信子は共に暮らした孫を忘れ、とうに亡くなった我が子を心配した。
「失礼します。信子さんお食事はすみましたか?食後のお薬飲みましょうね」
介護士の小山が入ってきた。
「もうお薬は結構です。お腹いっぱい。そろそろ帰ります」
「あらまぁそんなこと言わずに……お薬飲んだら、私がお家まで送って行きますよ、ね?」
「そう?しょうがないわねぇ」
「小山さん、いつもありがとうございます」
「よく噛んでね」
柔らかく煮た人参をスプーンで口に運び、唇から垂れた煮汁をガーゼで拭った。
「すみません、ありがとうございます。あぁ、もうお腹いっぱい。いつもおいしいご飯をありがとうございます」
「おばあちゃん、もう少し食べようよ。ほら、あとひと口」
「そろそろ帰らなくちゃ。息子の省吾がね、お腹を空かせて待ってるんですよ」
信子は共に暮らした孫を忘れ、とうに亡くなった我が子を心配した。
「失礼します。信子さんお食事はすみましたか?食後のお薬飲みましょうね」
介護士の小山が入ってきた。
「もうお薬は結構です。お腹いっぱい。そろそろ帰ります」
「あらまぁそんなこと言わずに……お薬飲んだら、私がお家まで送って行きますよ、ね?」
「そう?しょうがないわねぇ」
「小山さん、いつもありがとうございます」