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我が運命は君の手にあり
第14章 第十四章
「でも、すっかり私を忘れてしまって、ちょっと複雑です。以前のように、頻繁には来られなくなったから……」
「お弟子さんて大変そうですね。慣れましたか?」
清拭を終え、汚れ物を袋にまとめると、小山は手に消毒剤を噴霧した。
「慣れてはきましたが、まだまだです」
「県をまたいでここまで通うのも大変ですよね。焼物の事はよくわかりませんけど、あのお湯呑みはとても素敵だと思います。信子さんも大層自慢してましたし」
使わなくなった祖母の湯呑みが、戸棚からこちらを見ている。
「ありがとうございます」
「この前頂いた箸置きも、職員みんなに好評ですよ。赤くて丸くてかわいいって」
「そうですか? よかった」
小山の笑顔がふと途切れた。
「秋津さん……なんだか」
「えっ」
「お顔が変わりましたね」
「そうですか?」
冴子は不安げに手を頬に当てた。
「悪い意味ではありませんよ。柔和になったというか、近づき易くなったというか……」
「私、そんなに怖かったですか」
「お弟子さんて大変そうですね。慣れましたか?」
清拭を終え、汚れ物を袋にまとめると、小山は手に消毒剤を噴霧した。
「慣れてはきましたが、まだまだです」
「県をまたいでここまで通うのも大変ですよね。焼物の事はよくわかりませんけど、あのお湯呑みはとても素敵だと思います。信子さんも大層自慢してましたし」
使わなくなった祖母の湯呑みが、戸棚からこちらを見ている。
「ありがとうございます」
「この前頂いた箸置きも、職員みんなに好評ですよ。赤くて丸くてかわいいって」
「そうですか? よかった」
小山の笑顔がふと途切れた。
「秋津さん……なんだか」
「えっ」
「お顔が変わりましたね」
「そうですか?」
冴子は不安げに手を頬に当てた。
「悪い意味ではありませんよ。柔和になったというか、近づき易くなったというか……」
「私、そんなに怖かったですか」