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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
冴子はバッグに入ったままの現金を確かめ、己れの幸運に心から感謝した。

「これで来月分の家賃が払える」

染井に提示された給料は、今の収入の1.5倍はあった。目の前がぱっと明るくなり、昨日花展へ赴いた自分の気まぐれに拍手を送りたかった。

頬を撫でる風が心地良い。意気揚々と空を見上げて歩く冴子の前に、黒い乗用車がゆっくりと停車した。すれ違いざま、運転席の窓が開いた。

「……秋津冴子さんでしたっけ」

怪訝な顔で見つめる男がいた。

「あ、昨日の……。あの、昨日はお騒がせしてしまって本当に申しわ……」
「どうしてこんなところに」

男は怪訝な顔で訊ねた。

「は、はい、やはりお詫びに伺わせて頂きました。それであの、急なお話なんですが、こちらでお仕事させて頂くことになりました。どうぞ宜しくお願いします」
「仕事?」
「はい、受付けの方がお辞めになるそうでその……、まだ何もわかりませんが、これからいろいろ教えて頂きます」

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