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我が運命は君の手にあり
第14章 第十四章
改札口付近に、黒い服の一団が挨拶を交わしている。冴子はそこを避け、土産を選ぼうと駅構内に並ぶ店に向かった。
三枝子の好きな和菓子を手に取り、弁当とお茶も一緒に支払いを済ませた。
発車時刻まで七分。冴子は足を早めて改札へと向かう。
「冴子」
聞き覚えのある声がして、同時に腕を捕まれた。
「……」
和菓子の紙袋がぶらぶらと揺れる。
(何故彼がここに……)
振り向いてはいけない。立ち去らなければ。
その手を振りほどき、急いで改札を抜けてホームに立ち、新幹線に乗って――
「あいつは、……親父は死んだよ」
時間が止まり、音か消えた。改札に向かう人々の背中を、無感動に眺めた。
「……死んだ」
黒服で背の高い男が、なにか言いたげに冴子を見つめていた。だが、冴子は振り向かなかった。
「風呂場で倒れててね。時江さんが見つけて救急車を呼んだんだけど、……あっという間だった。今日は四十九日で、たった今姉と親戚を……」
あとは聞こえなかった。
三枝子の好きな和菓子を手に取り、弁当とお茶も一緒に支払いを済ませた。
発車時刻まで七分。冴子は足を早めて改札へと向かう。
「冴子」
聞き覚えのある声がして、同時に腕を捕まれた。
「……」
和菓子の紙袋がぶらぶらと揺れる。
(何故彼がここに……)
振り向いてはいけない。立ち去らなければ。
その手を振りほどき、急いで改札を抜けてホームに立ち、新幹線に乗って――
「あいつは、……親父は死んだよ」
時間が止まり、音か消えた。改札に向かう人々の背中を、無感動に眺めた。
「……死んだ」
黒服で背の高い男が、なにか言いたげに冴子を見つめていた。だが、冴子は振り向かなかった。
「風呂場で倒れててね。時江さんが見つけて救急車を呼んだんだけど、……あっという間だった。今日は四十九日で、たった今姉と親戚を……」
あとは聞こえなかった。