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我が運命は君の手にあり
第14章 第十四章
旦那様が亡くなった、旦那様が亡くなった、旦那様が亡くなった……

心で唱え続けた。己に理解させるために。

「冴子……」

腕が自由になった。

「いったいどこにいるんだ。君が姿を消してから俺は、俺は……。俺、わかったんだ。俺は今も君を」

「あなたは私を許したりしない」

咄嗟に出た言葉が遼を黙らせた。冴子は振り向かずに歩き出した。ダウンコートから切符を取り出し、改札を抜け、エスカレーターを足早に上がった。冴子、と叫ぶ声がする。

やめて……

雪のちらつくホームに着いてやっと、今起きた事を実感した。
平穏な気持ちに波風を立てるのは、いつもあの人達。私はただ、彼らに翻弄されてきた。今もこうして……

懐かしい胸の高鳴りが、下げていた熱を上げる。身体を縛り付けていた縄が、遼の手の力強さに負けてほどけていく。
身体が震えだしたのは雪のせいだ。旦那様の訃報を知ったからだ。

本当は……本当は?

心が千切れそうだった。生き返った恋心が憎かった。そして剛介の訃報は、あまりに突然で受け止めきれない。
冴子は無表情のまま、目前で開いたドアに乗り込み、人影疎らな席の一つに腰を下ろした。

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