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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
平静を取り繕う遼の様子を、ハットから覗いた目が見据えていた。

「……あ、はい、北沢真子です。去年の花展でお会いしましたよね、よろしくお願いします」

女性スタッフ達は秋津冴子を観察していた。どこかに綻びを見つけ、以前の彼女と結びつけて少しでも風上に立つ為に。一方、各教室から会場設営に駆り出されてきた男性スタッフ達は、ただ黙って生唾を飲んだ。

「その節はお騒がせして申し訳ありませんでした。図らずもこちらで働かせて頂くことになりました。いたらない事も多いかと思いますが、ご指導のほど、よろしくお願い致します」

猫背で伏し目がちの湿っぽい女は、いつの間にか一通りの礼儀と知性を手に入れ、臆することなくそこに立っている。僅かに読み取れる緊張は深く静かな呼吸ぐらいで、目の奥には強い決意を宿していた。
つややかな白い肌はほんのりと赤みが差し、ひと重の目線がそっと斜めに下りると、優雅さの中に妖しさが混ざる。ともすれば下品にも感じられる厚い唇は、口角が引き締まっているせいかやけに魅惑的だった。

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