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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
二人が会釈を終え、互いに微笑んだところでようやく拍手が起きた。

「お家元、今回は私達二人で受付けということで宜しいですか?」
「ああ、もちろんだよ、しっかり指導してくれたまえ。……うむ、そうして二人並ぶと艶やかでいい眺めだ。まさに花にも勝る美しさだよ、ははは……。北沢君、嫁にいくのなんかやめて、このままうちに残ってはどうかね」

珍しく冗談を言う家元に、「今一度、よく考えてみます」と北沢がおどけてみせ、周囲は笑いに包まれた。

「ふむ、どうやら準備万端で私の出る幕はなさそうだ。あとは頼んだよ。みんな、次期家元の力になってやってくれ。私はこれで退散するよ。見送りはいいから持ち場に戻って、さぁ」

二度手を打ち鳴らした家元は作業に戻る彼等を頼もしげに見届け、出口に向かった。

「君、ちょっと」

不意に冴子に手招きをする。

「はい」

彼はその耳元で何かを囁き、目配せをして去っていった。冴子は染井の背中を見つめ、主を見送る僕のように、恭しくこうべを垂れた。

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