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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
遼は咄嗟に目を逸らせた。照明の角度を調節しているスタッフの元へゆき、何気ない素振りで振り向くと、冴子は北沢の隣でパンフレットを並べている。その表情や振る舞いから不穏を見抜こうとした彼だったが、すっかり様変わりした女の佇まいに見とれ、「明るさはこれでいいですか?」というスタッフの声で我に返った。

「……あぁ、うん、それでいい」

秋津冴子の背格好は、北沢とそう変わらないものの、やや撫で肩の体型は華奢な印象を受ける。すらりと伸びた首筋、形の良い耳から襟足にかけての白さは、彼女のたおやかな動きをさらに美しく演出していた。

(時江の教育の賜物か)

周囲を見渡した遼は、作業中ちらちらと冴子を気にする男達の視線が気になった。だが、あと二時間足らずで彼らが会場から引き上げる事を思い出し溜飲を下げた。






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