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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
気軽な会話で距離を縮めようとしてくれる北沢に感謝しつつ、冴子は開場の時間が気になり始めた。

「着付けは自分で?」
「はい、何とか出来るようになりました」
「時江さんから伝授されたんでしょ? とっても上手、お太鼓もきれいに出来てるわ」

背後にまわった北沢の声に、冴子はほっと笑みを浮かべた。

「ありがとうございます。はい、時江さんのお陰なんです。私、何も知らなくて」
「私もそうだったわよ。時江さんには散々お世話になりました。もう三年近くお会いしてないけど、お変わりないかしら」
「えぇ、お元気です」

時江がどのように北沢真子に接したのか、冴子には手に取るようにわかる。時江は染井剛介に命じられた事だけを忠実に実行する。そして、個人的な感情を一切織り混ぜない、誰に対しても。

「そう、よかった。時江さんて、ちょっと取っ付きにくいでしょ? 冷たい感じだし。でも今となってはそれが妙に懐かしいの、不思議よね」

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