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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
冴子が時江に会ったのは一週間前だったが、もうすでに懐かしかった。
幼子にとって親が全ての手本であるように、彼女は今、その手本を失ったような心細さだった。孤高の人とも言える時江を、冴子は心から慕っていた。

「その小紋、奥様のものをお借りしたのね」

答えは聞くまでもないけどね、という口振りだった。北沢自身がそうだったし、その小紋は冴子が用意出来るような代物でないことは、誰の目にも明らかだった。

「いえ……」
「えっ……違うの?」

北沢の顔から笑みが消え、すぐに違う質問が口をついた。

「あの、もしかして……、お家元に?」

眉を潜め、小声になった。

「いえあの、時江さんに頂きました」
「時江さんに?」

安堵のため息をついた彼女だったが、すぐに目を丸くした。

「信じられない……、あの時江さんが、譲ってくれたの? 本当に?」

冴子は北沢の反応に焦ったものの、すぐに気を取り直した。

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