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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
「はい、タンスの肥やしにしておくのは奥様に申し訳ない、と仰って……。あの、私、何かまずかったですか?」
「あ、ううん、違うのよ、意外だったの。時江さんも変わったなぁ、って思って。きっと秋津さんの事が気に入ったのね」

北沢は柔和な顔になり白い歯を覗かせている。

「たしかに、時江さんはいつも小袖を着てたから、小紋はタンスの肥やしかも知れないわね」


事務局のスタッフや各教室の師範達の氏名、生徒数等の一覧表を北沢から見せられ、染井流の大まかな組織図を理解していく。彼女の説明は分かりやすく、質問もしやすかった。
今は北沢真子が冴子の手本だった。周囲への接し方や気付き、笑顔の作り方、声のトーン。時江から得ていないものを北沢から学ばなければならない。

「あ、遼さん、知ってましたか?」

出口に向かう遼を北沢が呼び止めた。

「なに?」
「秋津さんのお着物、時江さんから譲ってもらったものなんですって」

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