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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
憂いのない表情と気取らない口ぶりは現場の雰囲気を良くしていた。スタッフから気軽に話し掛けられている姿は剛介とは異なり、次期家元としての新たな姿勢が快く受け入れられているようだった。
「遼さん素敵でしょ? 背も高いし、優しいし。女の子達、密かに玉の輿を狙っているのよ」
結婚を控えているせいか、北沢の言葉には余裕が感じられる。
「お家元も彼になら安心して任せられる筈だわ」
冴子は染井の事を訊いてみたかった。
「あの、旦那さ……、あ、いえ、お家元はどうしてお辞めになるんですか?」
「趣味の陶芸をやりたいのよ、主に花器ね。お家元が姿を見せない時は、土をこねに行ってるんじゃないかしら。ご自宅から車で一時間ぐらいの場所に工房があるらしいの」
お金持ちらしい趣味だと思った。落としてしまった花器は丹精込めて作った物に違いない。染井はどんな気持ちでそれを見ていたのか。冴子は改めて申し訳ない気持ちになるのだった。
「遼さん素敵でしょ? 背も高いし、優しいし。女の子達、密かに玉の輿を狙っているのよ」
結婚を控えているせいか、北沢の言葉には余裕が感じられる。
「お家元も彼になら安心して任せられる筈だわ」
冴子は染井の事を訊いてみたかった。
「あの、旦那さ……、あ、いえ、お家元はどうしてお辞めになるんですか?」
「趣味の陶芸をやりたいのよ、主に花器ね。お家元が姿を見せない時は、土をこねに行ってるんじゃないかしら。ご自宅から車で一時間ぐらいの場所に工房があるらしいの」
お金持ちらしい趣味だと思った。落としてしまった花器は丹精込めて作った物に違いない。染井はどんな気持ちでそれを見ていたのか。冴子は改めて申し訳ない気持ちになるのだった。