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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
「さえちゃん、ばあちゃんの事はもう心配ないよ。今までいろいろ我慢させて悪かったねぇ。もういい、もう充分だよ、ありがとう」
「おばあちゃん……」
「こんなに良くしてもらって、染井の旦那様には足を向けて眠れないよ。感謝してもしきれないっていうのはこういう事をいうんだねぇ」
都内で病院経営をしているこの施設の理事長と、染井が旧知の間柄だったことから、信子は染井の口添えで早々に入居が叶えられ、費用は年金で賄うことができた。
「あの方は見ず知らずの者に手を差し伸べてくれる優しい人だよ。さえちゃん、旦那様には恩返しするつもりでお務めしてね。くれぐれも失礼のないようにね」
信子は冴子が来る度にそう言い聞かせた。ひんやりと乾いた両手が、冴子の右手を力なく握る。しゃがんだ冴子は信子を見つめ、微笑んで頷いた。
「うん、もちろんわかってる。感謝を忘れないようにしなきゃバチが当たっちゃう」
「真吾はまだかねぇ、せっかくさえちゃんが来てくれたのに」
「……あのね、お父さんは仕事で遅くなるんだって」
「おばあちゃん……」
「こんなに良くしてもらって、染井の旦那様には足を向けて眠れないよ。感謝してもしきれないっていうのはこういう事をいうんだねぇ」
都内で病院経営をしているこの施設の理事長と、染井が旧知の間柄だったことから、信子は染井の口添えで早々に入居が叶えられ、費用は年金で賄うことができた。
「あの方は見ず知らずの者に手を差し伸べてくれる優しい人だよ。さえちゃん、旦那様には恩返しするつもりでお務めしてね。くれぐれも失礼のないようにね」
信子は冴子が来る度にそう言い聞かせた。ひんやりと乾いた両手が、冴子の右手を力なく握る。しゃがんだ冴子は信子を見つめ、微笑んで頷いた。
「うん、もちろんわかってる。感謝を忘れないようにしなきゃバチが当たっちゃう」
「真吾はまだかねぇ、せっかくさえちゃんが来てくれたのに」
「……あのね、お父さんは仕事で遅くなるんだって」