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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
「はい、ありがとうございます。今日は申し訳ありませんでした。次回は参加させていただきます」
北沢はいつも通り落ち着いていて、酔ってはいないようだった。
「遼さんに伝えておきますね。あ、次回は私、退職してていないんだ、ふふっ、残念。あ、そうだ秋津さん」
「はい」
「……遼さんをお願いしますね」
「え……、もしもし、もしもし……」
そこで通話が途切れ、再び静寂が訪れた。
「なんだ、途中で切れたのか」
染井は笑いながら前を見ている。
「はい、とても楽しそうでした」
「うむ、私はああいう場が苦手でね。
――私もです
冴子はそう言おうとしてやめた。
「なぜですか」
「ふふっ、嘘臭くて油断できない」
(私もそう思います)
追い越していくバイクを見送り、歩道を歩くサラリーマン達を眺めた。
「……遼さんをお願いしますね」
僅かな沈黙と途切れた通話。もしや北沢は、遼に好意を抱いていたのではないか。冴子は漠然とそう感じた。それでも嫁ぐのは恋に破れたからなのか。
……ふっ、どうでもいい、人のことなど
北沢はいつも通り落ち着いていて、酔ってはいないようだった。
「遼さんに伝えておきますね。あ、次回は私、退職してていないんだ、ふふっ、残念。あ、そうだ秋津さん」
「はい」
「……遼さんをお願いしますね」
「え……、もしもし、もしもし……」
そこで通話が途切れ、再び静寂が訪れた。
「なんだ、途中で切れたのか」
染井は笑いながら前を見ている。
「はい、とても楽しそうでした」
「うむ、私はああいう場が苦手でね。
――私もです
冴子はそう言おうとしてやめた。
「なぜですか」
「ふふっ、嘘臭くて油断できない」
(私もそう思います)
追い越していくバイクを見送り、歩道を歩くサラリーマン達を眺めた。
「……遼さんをお願いしますね」
僅かな沈黙と途切れた通話。もしや北沢は、遼に好意を抱いていたのではないか。冴子は漠然とそう感じた。それでも嫁ぐのは恋に破れたからなのか。
……ふっ、どうでもいい、人のことなど